Voice〜彼の声〜



「…何も知らなくてごめんな」


そう言いながら肩をポンポンと優しく叩く。



榊の腕から温もりが伝わり、心が少し落ち着く。



でもね。



「…私は、創ちゃんを忘れたくない」


私が忘れたら、創ちゃんとのこと全てが失われていく。



榊の肩を叩く手が止まったかと思うと、次の瞬間、私は榊の腕の中にいた。



「…いいよ、それでも」



本当はそんなこといいはずない。


榊の優しさだ。



< 185 / 337 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop