Voice〜彼の声〜


気付けば卒業式を目前にしていた。


私は学校に行くことはなかった。



創ちゃんが死んだのは、私を迎えに来る途中に事故に遭ったから…。


私のせいで死んだんだ…。



創ちゃんと一緒に学校に行こうとさえしなかったら、創ちゃんは死ぬことはなかった…。



後悔だけが頭の中を占める。



「美嘉、山下くんよ」


トントンとドアをノックし、お母さんの声が聞こえてきた。



「開けるわよ…」


「………うん」


ドアを開け、山下は入ってきた。


久しぶりに見た山下は、以前よりも痩せて見えた。



< 288 / 337 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop