Voice〜彼の声〜
第10章

初めて見る涙




「香坂」


「…どうしたの?」


放課後、誰もいない教室でいつものように教室の窓から空を眺めていると、山下も同じように空を眺め始めた。



「この時期になると創のこと思い出す…」


この時期…つまり二月。



「…そだね」


「俺さ、すっげー後悔してんだよね…」


悲しそうな表情を浮かべ私を見た。



「あの時、俺がちゃんと創に伝えておけば良かった…あの時、俺が態度に出さなかったら良かった…って後悔ばっかりしててさ」


初めて聞く山下の本音。


突然のことで言葉に困り、私は黙って聞いていた。



「創が死んだ日さ、創に話しがあって会う約束してたんだ」


初めて聞く私の知らなかった事故が起こった時間。



「創に"俺は二人の邪魔をする気はない"って伝えようと思ってたんだ…」


空を見つめながら言葉を続ける。



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