もう一度 君に会えたら
「彼らは夏の暑さを楽しんでいるんだろうねぇ」


俺の視線に気付いたのか、おじさんも外を眺めながら語りかける。


「楽しむ?」


「入院が長いと、季節を目でしか感じれなくなるんじゃないかと思うんだよ」


そう言って視線を俺に戻した。


「大きな怪我で外に出れなかったり、外出の許可が下りない患者さんは窓からの景色で四季を感じるしかないだろ?だから、外に出れるとなると嬉しくてたまらないと思う。たとえそれが真夏だろうが雪の積もる寒い冬だろうが、それを体で感じれることは幸せなんじゃないかな。いや、僕が勝手に想像したことにすぎないんだけど」


恥ずかしそうに笑いながらも目は真剣だ。


「彼らは、今を楽しんでいるんだと思わないか?」


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