宵闇
寄り添ってくれる愛。
『アタシを返して!』

泣きながら叫んだ。

誰に向かってでもない、ただ、自分に。

アタシはこんなんじゃなかった。

アタシはもっと元気だった。

アタシは強かった。

アタシは・・・

涙ととともに口から出るコトバ。

それは、後悔なんだろう・・・。

『寂しいの。』

そうコトバにしてみる。

そう・・・アタシは今寂しいんだ。

アタシとともに過ごして欲しい相手がいたら・・・

アタシの寂しさや不安、後悔は消えるのかもしれない。

『助けて・・・。』

そう呟いてみる。

誰かに寄りかかりたい。

誰か今のアタシを支えて。

アタシは自分自身が今崩れかけていること認めざるを得なかった。

『アタシは寂しいの。愛して欲しいなんて言わない。』

『ただ・・・今傍にいてくれるだけでいいの。』

ようやく口にした想い。

ずっと抑えてた気持ち。

不思議なことに涙が止まる。

あぁ・・・アタシは今寂しくて誰かにこの気持ちをわかって欲しいんだ。

そう・・・この辛さを自分のせいにも、

そして、誰かのせいにもしたいんだ。

自分が抱えきれない想いを、

『アタシを返して!』というコトバにしたんだ。

涙で化粧が崩れ、

アタシの目の周りはアイラインがぐちゃぐちゃになって真っ黒になっていた。

誰かと一緒にいたい。

でも、今吐き出したコトバでアタシの気持ちは少し楽になっていた。

今、アタシが欲しい愛は・・・

『寄り添ってくれる愛』なんだ。

カラダを重ねるんじゃなく、ただ、寄り添ってくれたらそれで幸せなんだ。

アタシは、ぐちゃぐちゃになった化粧を落とした。

素顔のアタシは、とても小さな子どものように見えていた。
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