東京心中
受話器をとりダイアルを回すと、「はい 」と愛想のない淡々とした感じの男の人が出た 「バイトの件で」とこちらが切り出すと 「お歳の方は?」と聞かれたので 「19です 」ととっさに嘘を着いた。 「面接希望されますか」と聞かれたので 「はい」と即答して「明日の夕方は大丈夫ですか」「場所はどの辺ですか」「梅田駅から歩いてすぐですが ご都合は?」「大丈夫です 梅田も駅の近くしか知らないので わかるかなぁ」と独り言をはっきり話してしまい、「梅田駅から電話下されば、迎えに行きます 分れば来て下さい とにかく明日梅田駅から電話下さい」「はい お願いします」と言って電話を切った。思ったより簡単に嘘がつけた自分に驚くどころか、少し自慢げになっていたのかも知れない。もうそこには、不安とか一切感じていなかった。鏡の前で明日着て行く服を考えてみたり、干支や生年月日を聞かれたら嘘の答を、返さないといけない事や、身分証などの事をどう切り抜けるかなど、気持ちはもう明日に行っていた。ホストという仕事がどんな仕事かなんて、きらびやかで儲るんだ位の気持ちで、ヤクザとか絡んでいるのかな?とか、レベルの低い想像しか、思いつかずお金の使い道も決まっていない、暇つぶ
< 2 / 9 >

この作品をシェア

pagetop