コイシイヒト



「健……史」


声を漏らしたわたしを試すように、健史の手に力が加わる。


「や……だ」

「夕実、相変わらず嘘が下手」

「ん……」



わたしの唇を塞ぐ健史。

容赦なく入り込む健史の体温。



もうどんな迷いも吹き飛ばし、健史に抱かれたいと思った。


どんな迷いも

どんな罪悪感も

健史と二人なら……





そう思った時、

胸の奥底が震えた。




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