そして悪魔は二度微笑む【コラボ】
『ククク……、ハハハハっ! 面白い男だな! この期に及んでまだ私を試すか、ベリル・レジデント! 答えは生きているし、死んでいる』

量子論における思考実験の一つに、シュレーディンガーの猫と言う物がある。

ベリルはそれを引き合いにだして、彼女が本当に科学者であるのか確認をした。

「最後に、一つ。私に声を掛けた目的は?」

『私もそちらの攻撃に合わせて、打ってでる。背中から撃たれるのは嫌だからな、声をかけさせてもらった』

「わかった」

『それでは、また会おう。ベリル・レジデント』

彼女が腕時計に触れると周囲の空間が揺らぐ。

そして、少量の紫電を撒き散らしながら、姿が消えた。

光学迷彩とでも言うのか……?

思案するベリルの耳に、ルカの声が聞こえてくる。

『ベリル! 大丈夫か?』

「あぁ、レンジョウアサミという科学者とウルリッヒ・シュタイナー博士の事を調べてくれ。その女がこちらの回線に割り込んだ」

『それはいいが……』

まだ、話を続けるルカとの電話を途中で切ると、ベリルは引き返す事にした。


< 36 / 64 >

この作品をシェア

pagetop