そして悪魔は二度微笑む【コラボ】
「武器がないとか言っておきながらC4を使うとは……」

「奥の手を簡単に見せる傭兵等いないと思うがね。しかし……、やはりこの危険な武器を使うしかなさそうだ」

ベリルはレーザーカッターの柄を握り直し、麻美はリボルバーを構え直した。

その二人の目の前で爆煙が晴れ、肩の肉が削ぎ落とされたDE-1が立ち上がる。

「タイミングは自分で掴め! トドメは任せた!」

麻美が、リボルバーに残る最後の弾を放つ。

寸分違わず肩に着弾したそれは、再生しようとしている肩の肉を再度削ぎ落とした。

DE-1の叫び声が第一ホールに響き渡る。

ギラギラと血走った目で麻美を睨みつけるDE-1。

その視線を真っ向から受けながら、麻美は再度通常カートリッジをリボルバーに装填する。

そして、怪物と美女のダンスが始まった。




ベリル・レジデントは、少し距離を置いてその様子を眺めた。

挑発的に放たれる弾丸は、的確に急所を捉え自らの方へ誘う。

だが、見事な誘導ではあるが、あの火力では隙を作る事など難しい。

そう思っていたのだが……、科学者らしいな……。

元々DE-1の動きが直線的で単調な事はベリルも気付いていた。

理性を失い、殆ど本能だけで動く者に、複雑な動きをさせる方が無理なのだ。

だからと言って、圧倒的な攻撃力と防御力、そしてスピードを兼ね備える相手に拳銃で立ち向かって、簡単に隙が作れる物ではない。

だが、今この場において怪物と美女のダンスは一定のリズムを刻み始めた。

二連射の後、回避。二連射の後、回避。二連射の後、回避。カートリッジの装填。二連射の後、回避……。


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