空へ。‐夢の先‐
賢人「はいみんな!静かに降りる!」



会見が終わったあと。

外に出るため、階段をみんなで降りる。




最後尾を歩いていたあたしは
緊張が解けた安心感でフラフラ。



てか…あたしが本当に龍くんの劇団員になるんだ…。


龍くんの劇団…。


今さら実感のわいてくる心。



龍くんと出逢って…



色んなことがあった。

色んな人と出逢った。




昔のあたしが今のあたしを見たらきっと

すごく驚くだろう。




ぎゅっと拳を握った。




これからの"あたし"は


きっとあの頃の"あたし"に


誇れるような人になれるかもしれない。

そんな気がした。



頑張ろう…絶対に。


龍くんみたいな
どんな人でも夢を与えられる

立派な女優になるために。






────ガクンッ



そんなことを思っていれば、フラフラのあたしの足は

次の段を踏み外して

ギリギリで保っていた体のバランスは一気に崩れた。



……………はぁ!??




やば、と思って目をつぶった時────。





紗姫「…あれ…?、」



感じない痛みに
おそるおそる目を開けると、程良く筋肉質な腕があたしの体を支えていた。




成二「……何やってんだよバカ」

紗姫「成二、」



あたしの体を起こすと
スタスタ階段を降りていった。



成二「ったく重てーっつの、
つか何ナチュラルに呼び捨てしてんだよ」



愚痴たれながら降りていく成二の背中に
首を傾げながら軽く投げかけた。



紗姫「…さんきゅー…?、」





急いでみんなに追いつくと、龍くんがみんなに


龍「俺についてこい」


そう言って笑いかけていた。
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