口笛
「おめこそ、何でついで回ってるんだ?見つかったらおごられるべ?」

「いや、俺は・・・今年、おれの父ちゃんなまはげだからよ‥どんなもんかと思ってさ」

 和也がまたニヤニヤしながら頷いていると、突然、小声で囁いた。

「なまはげ、真夏の家もまわるんだべ?」

 お互いの興味の矛先は一致しているようだった。

 父が扮したなまはげは、僕から見てもなかなか迫力ある威勢を張り上げていた。各家庭で御神酒も入り、大分酔いも回っているようでさらに勢いが増してきていた。

「西村さん、いいがぁ」

 真夏は、真夏の母親の実家である西村さんの家に住んでいた。世話人が、西村家の了解を取り付けた様だ。世話人のゴーサインを受けて、父ともう一人のなまはげが家の中に入って行った。

「ウォーウォー‥」

「真夏のやつびびってるかな?」

 和也が、遠巻きに中の様子を伺いながら呟いた。

「さぁどうかな‥」

 正直、いつも強気の真夏が、しおらしくびびっている姿も見たかったが、それは見てはいけないような気もしてきていた。

「おら・・・帰るかな」

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