イルカと星の物語

その4

その時突然、男の子の星空の中で、チカッと一点が瞬きました。

男の子が、その光にハッと気付いた瞬間、
スーッと瞳の上を流れるように、
光が尾をひいて、目の前の水平線に向かって落ちていきました。

一瞬のことでした。

それは、イルカの男の子が生まれて初めて見た流れ星でした。
男の子は、大きな瞳をもっと大きく見開いて、光の尾の残像を追いました。
光の正体が何だったのかわからない男の子は、星空に何か起きたのかと息を呑み、体を緊張させました。
しかし、他の星々は、変わらずチカチカと静かに瞬いています。

まるで、星空には何も起きなかったかのようでした。

でもイルカの男の子の瞳には、間違いなくそれが映ったのです。
男の子の瞳に映る星空は、その光を見る前の星空よりも、
男の子の心を一層ワクワクさせるものになっていました。
男の子は、ワクワクする頭の中で、くるくると考えをめぐらせました。
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