二 億 円



一気に血の気が引いていくような、冷ややかな視線。



ベッドに横たわりながら、横目で此方を見る彌生様の顔は怒りを含んでいて


身動きを取ることができなかった。



「少し前から、気になっていたのですよ。

ひなたと刹那はやたら親しい。


この屋敷では私以外と口を聞くことは許さないと約束したはず。


会話をしていないはずの二人が何故親しくなるのでしょうか。


私には分かりませんけれど?」



嫌みたらしく話す彌生様は苛々しながら立ち上がり、私を追い詰める。



「罰を、また受けたいのですか?ひなた、あなたは本当に「彌生様っ…せ、刹那さんは…仕事の時間を……!!」」






一瞬、沈黙が流れた。



私は何故だか分からなかったが、彌生様の顔を見てハッとした。











「……ひなた。声が、出るのですか?」
< 131 / 156 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop