二 億 円



「では、日向を僕の世話役にして下さい。」


「え?」


突如、切り出された『世話役』の話。


僕だけじゃなく、お父様も驚きを隠せなかった。


「彌生、正気か?こんなガラクタを、世話役にしても意味が「お父様、私の欲しいものは与えて下さるのですよね?それなら日向が欲しい。日向を、私の世話役にして下さい。」」


何でも出来る兄さん。羨ましくて、妬ましくて、


そんな兄さんが、僕を欲しいと言った。




「…彌生が言うなら、そうしよう。日向、お前は今日から彌生の世話役…つまり、この屋敷の使用人になれ。」


アルバイト?お手伝い?そんな立派なことじゃない。


子供へあてがわれた、ただの差別。




逃げ道なんか、どこにもなかった。
< 154 / 156 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop