二 億 円



中学の卒業式の日、小さい頃よく行った公園に立ち寄りました。



桜はまだ半咲きで、うっすらと色付いていて綺麗でした。




眺めていると、ふわりと甘い香りがしました。



桜ではないけれど、どこか懐かしい香りがして









少し、胸騒ぎがしました。


何故かは未だに分かりません。


けれど、誰かが近くにいた気がしました。







家に帰ると、お母さんが沢山の料理を作ってくれていて、笑顔で優しくしてくれました。


とても、幸せだった。



けれど、お父さんはそんなお母さんを見て、悲しそうな、怒っているような態度をしていました。




「今日はひなたの卒業祝い。好きなだけ食べていいのよ。」


「やった!!私の好きなものばっかり!!お母さんありがとう。」



その日のお母さんはいつも以上に優しくて、普段は使わせてくれないパックやトリートメントを貸してくれた。





次の日、桜が綺麗だからお花見をしよう。と誘われて、何故だか少しおめかしをさせられ、一人で家を出た。


「後から行く。」と笑顔で告げられ、私は何も持たずに家を出た。






公園へ向かう桜並木があまりにも綺麗で、後ろから誰かにつけられているなんて気づきもしなかった。




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