溺愛プリンス

部屋は、客室と寝室が別の全室露天風呂付き!



仲居さんが引き上げていくのを見送って、窓辺に駆け寄った。
そこから見えるのは、川だ。


カラカラと窓を開けると、涼やかな水のせせらぎが聞こえる。


「……きれい」


9月下旬。
秋の気配を色濃くした山間に、ひっそりと流れるその川は、深い木々の間から降り注ぐ太陽の光を反射させ、眺めているだけで心が洗われる気がした。


しばらく窓から川の流れを眺めていると、仲居さんが再び顔を覗かせた。




「失礼致します。お食事は、6時からでよろしいでしょうか?」

「あ、はい。お願いします」

「では、お部屋にお運びしますね。ごゆっくりおくつろぎください」





6時か……。

腕時計を確認すると、針は4時を回ったところ。


温泉、いってこようかな。



「よし!」




鞄の中から着替えを出して、部屋を出た。

この旅館には3つの温泉処があって、数にすると全部で23種の温泉があるらしい。

全部まわるのは無理だけど、とりあえずいけるだけいってみよう。






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