溺愛プリンス


「……ゴクゴク!」



ぷはぁ!

スポーツドリンクを一気に仰いで、そのついでに大きく息を吐き出した。


行けるだけ行こうとか意気込んでたわりに、結局すぐにのぼせてしまったあたしは自分の部屋に戻っていた。
上気した自分の顔が、ガラス窓越しに見える。


そこから視線を外して部屋の中を見ると、すでにテーブルの上にはたくさんの美味しそうな料理達が並んでいた。


よっこらせと、椅子から立ち上がってすぐに違和感に気付いた。



あれ?



違和感の原因は、料理の数だ。
あきらかに多い。


「あの……この料理ってこれで1人分ですか?」


だとすると、食べれる自信が……。


なんて思ってると、仲居さんはニコリと笑顔でこう言った。



「順次お運びしますね。これで、2人分です」

「そうなんですね……、ええ!?」


2人分!?
手違い!? それとも最初から2人分でとってたの!!?



「ど、どうしよう、あたし1人なんですけど!」



ガバリ!と身を乗り出してそう言うと今度は別の人が声が……。



「それは俺のだ」

「へ?」


……”俺の”?


き、聞き覚えあるような、ないような……。


ポカンとしていると、襖がスッとあいた。
そこに現れたのは……。



< 125 / 317 >

この作品をシェア

pagetop