溺愛プリンス


「……ショーンさん?ハルなら今、出て行きましたけど」


ハルを呼びに来たんだろうと思って、そう伝えるとショーンさんのアクアマリンの瞳がグッと細められた。



「あなたは、相当鈍感なようでございますね」


へ?



丁寧な口調で、上品に発せられた言葉。

わけがわからずにポカンと口を開けているあたしに、ショーンさんは心底不服そうにその綺麗な顔を歪めた。



「ハロルド様はあなたを心配して、ここまで来た。ご公務の途中にも関わらず、です」

「え?」



その言葉にハッとして目を見張る。


あ、あたしを、心配して?
そんなハズ、ないよ……。

信じられないと眉間にシワを寄せたあたしに、ショーンさんはこうも続けた。



「私(わたくし)は、ハロルド様が幼い時からおそばにおります。
そんな私でさえ、見たことのない、知らないお顔をここ最近お見受けします。

ハロルド様は、あなたの前では力を抜かれている。
息を、していらっしゃるのです」




本当の、ハル?

< 131 / 317 >

この作品をシェア

pagetop