溺愛プリンス


「うん。ばっちりじゃない。さすが兄の見立てだけあるわ。志穂の良さをすごく引き出せてる」

「……そ、そうですか?」


ざっくりと胸のあいた大胆なデザイン。
キュッとウエストがしまっていて、腰から足元にかけて流れるような光沢のある生地がキラキラと光っている。
肌の露出があっても、シンプルなデザインだからか、上品な仕上がりになっていた。


綺麗に着飾ったあたしを見て、ベスは満足そうにうなずいた。

そうかなぁ。
自分でいうのもあれだけど、これを”馬子にも衣装”っていうんじゃないの?

でも、お世辞でもうれしい。


たしかにハルの選んでくれたドレスはすごく素敵。
鏡の中のあたしは別人のようだし、きっとハル……びっくりするだろうな。



「本当に美しいですよ、志穂さま」

「クロードさんも、ありがとうございます……」




恥ずかしくなって、思わずうつむくとベスが何かを差し出した。



「それじゃ志穂、これを」

「? これって……」



それは小さな装飾がたくさん散りばめられたマスク……のようだった。
片方に羽もついている。


テレビとかで観たことある。

これ付けてくの?


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