溺愛プリンス
「お願い、マルク! あたしをハルのところまで案内して……!お願いっ」
「……」
ジッと見つめられてる気配。
どれだけ沈黙が続いただろう……。
やっぱり断られる。
そう思った時、深いため息とともにマルクの唸り声がした。
「うぁー……もう、しょうがねぇなーーーっ!」
「! マルクっ」
パッと顔を上げると、目の前の光景にギョッとした。
……へ?
「マルクありがとうっ!アンタに頼んでよかったっ」
「く、苦しいっ……なにしてんだ離せベスっ」
本当に嬉しそうなベスが華奢なその腕をマルクの背中に回していた。
それを受け止めるマルクは、誰が見ても顔を真っ赤に染め上げてアタフタしている。
「ちょ、マジ離して」
「なんでよ、なに照れてんのよ」
「はあ? て、照れてなんかないっつの」
そう言いながらも、抱きつくベスを無理矢理引き離そうとはしないマルク。
それがわかってるように、ベスは慌てふためくマルクを見て楽しんでいた。
……、ん?
あれ?
この雰囲気って……。
「あ、あのぉ……おふたりは……」
呆気にとられていたあたしは、呆然と疑問を口にする。
でもそれを制するように、運転席に座って成り行きを見守っていたクロードさんが声をかけた。
「ベスさま、ショーンが屋敷に戻りました。急いだ方がよろしいかと」