溺愛プリンス
「ハル!」
頭までシーツをかぶったまま、思わずハルを呼び止めた。
廊下にさしかかったところで、振り返ったハルに「行ってらっしゃい」と声をかける。
そんなあたしに、ハルは嬉しそうに笑った。
――パタン
扉が閉まり、遠ざかって行く足音にちょっぴりさびしさを覚えてしまう。
またすぐに逢えるのに、顔が見えなくなると途端に逢いたくなる。
ほんと、あたしって欲張り。
ハルのぬくもりを求めてベッドに寝そべった、その時だった。
―――バーーーーーーーン!!!
「!!!!」
閉まったハズの扉が再び勢いよく開き、ガバリを頭を上げる。
今度は無遠慮に靴音が近づいて、ベッドの脇で止まった。