溺愛プリンス

『俺のすべてを、君に』



レースカーテンから零れる朝陽が心地いい。

こんな穏やかな気持ちは、いつ振りだろうか。



ここんとこ、ゆっくりできる時間がなかったからな……。


まどろむ意識の中、傍にあるぬくもりを確かめるように腕を伸ばす。
小さな体を抱き寄せ、そのままうなじに顔を埋めた。







「っ……」



ピクリと小さく反応した身体。
一呼吸おいて遠慮がちに俺の名を呼ぶその声に、思わず悪戯心が沸き起こる。




「…………」



その問いかけにわざと答えずに、首筋に唇を寄せた。



「ひゃっ」



志穂は初心だ。
反応が、いちいち初心。

ただキスひとつするだけで、首筋まで真っ赤に染める。


真っ白な肌が、俺が触れた個所からピンクに色づいていくのは、男としてたまらない。


だから、いつも大事にしたいって思う反面。
……イジワルしたくなってしまう。




「くすぐったいよ……ねえ、起きてるんでしょ?」

「……寝てる」

「起きてるじゃん!もうっ」



ガバッと振り返った志穂は、頬をぷくっと膨れさせた。
ムキになって怒ってるのも、可愛いとか……。



まいったな。

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