オレンジ



由希音と一緒にいるのは、颯太〈フウタ〉という笑顔が似合う俺でもかっこいいと思える男子だった



その光景に言葉を失っていると



「本当は無理矢理にでも海に一緒に入ろう?って連れて行きたかったけど、由希ちゃん、泳げないのは水が怖いからなの


プールでも顔をつけられなかったのに、さらに波まである海じゃ、無理矢理に入れるなんて私には出来なかった…ごめんね、瞬」



李花は申し訳なさそうに俺に謝ってきた



「李花が謝ることじゃない。俺が気づけなかったから…」



李花を見たあともう一度ふたりをみると、楽しそうに話してるふたりがいた



「それに会えただけでも十分だし!誘ってくれたことに感謝してる

早く行こう!時間がもったいない」



とふたりから目を反らし更衣室へ足を進めた



「瞬…」
「…」



会えただけで十分…それは本心からだし、これからよりを戻すなんて出来ると思ってない


俺が好きだとしても由希音は前に進んでるのかもしれないから


だったら、今は楽しむしかない


こんなことで落ち込んでてもせっかく集まってくれたみんなに迷惑がかかるから


そう思いながらも、やっぱり辛いな…


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