ひとりぼっち
「今、何時だろうな」

「さぁ。時計くらい置いて欲しかったわね」


この状況の中普通に会話をする星奈と圭は冷静すぎるのだろうか。
すくなくとも雷斗のようにガタガタ体を震わせている方が一般的だと思う。

咲は凛だった遺体をツンツンしながら遊んでいる。こちらもかなりおかしい。

「お腹すいた…」


「確かにね。水でも飲む?」

「そうだな。咲、雷斗。水飲むか?」

「飲む。てかお腹空いたね…」

「あ、ああ…」

四人で回し飲みをしながら飲むが雷斗は他の三人に明らかに怯えていた。
そんな雷斗を気づかれないよう鼻で笑う咲。


あの大人しく、人の態度をびくびく気にしていた咲はここで変わってしまったのだろうか。

否、それとも化けの皮が剥がれただけか。

「もう、寝よっか」

「床で寝るなんて明日絶対腰痛いな。おやすみ」

「ん、おやすみー」

「…ちょっと待ってくれ…」

雷斗の弱々しい声かけに振り向く三人。


「トイレ…したいんだけど」

「ああ…。そうだな困ったな」

何を隠そうここにはトイレはないのだ。
あるのは白い壁と開かないドア、テレビだけだ。
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