ひとりぼっち
詩織が死んだ後すぐ、俺はじいちゃんの家へ向かった。


じいちゃんとその娘である母さんが仲悪かったからあんまり会わせてもらえず、こっそり会いに行ったりしていたものだ。

母親に黙って空き地で飼っていた猫が死んだ時、じいちゃんは俺と詩織を抱きしめて一緒に泣いてくれた。

俺と詩織はそんなじいちゃんの飾らない優しさが大好きだった。


例え、有名な極道の家元の頭だったとしても。



俺はじいちゃんの目をじっと見つめたまま話しだした。


「ねぇ、じいちゃん。詩織は自殺なんかじゃなく、誰かに殺されたんだ」

「ほぉ。どうして分かる?」

「これ、見て」

「……………これは…。詩織の遺書…」

―――――――――――


にこって笑う蓮が好き。


狂おしい程蓮が好き。


いつまでもずっと。


ああ。


たまにでもいいから


詩織のこと思い出して?


これは最後の我が儘。


ロにキス


される度

蓮?

たまにあたしを思って?






蓮ならあたしの言いたいこと、分かる、よね?
お願い。ずっとあたしに縛られてて。あたしを忘れないで。大好きよ、蓮。


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