光のワルツ


……のに、こいつは空気が読めないのか天然なのか…


「そっかぁ。ならいいやっ」


いやいやいや…よくないだろっ!…とつっこみたいが、それを言うタイミングさえ逃す。


「…っ…できた」

「わぁ!ありがとうっ」


人の苦労も知らないで…
いや…プライドをはった俺が悪いんだが……


「…で、ショッピングってこれ?」

「ううん!今のは私がつい寄り道しちゃっただけ…買いたかったのは、便箋なんだっ」

「…なんで今、便箋なの?メールがあるじゃん。」

「…秘密。あっあったあった!蓮人くん選んでよっ」

「はぁ?!……じゃ、これ」

「……………………豚にリボンって…どうつっこめばいいの?」

「っ!じゃ自分で決めろよっ!俺にはよくわかんないから」

「……少女趣味」

「うるさいっ!じゃぁこれ!!青空とか綺麗じゃん!」

「んーそだね、それ決定!」


里美という女は本当に意味わかんない女子だと思う。
いきなり会った人間に普通、ここまで本気で気をつかわない奴がいるのだろうか?
普通ではない。確実に!
しかも家政婦って…本当に高校生がやってるやついるのだろうか…
普通の高校生のバイトって行ったらコンビニとか…
つか今日うちに泊まるのか?
晩ご飯作ってから帰らせるなんて申し訳ない気がするし…
でも高校生が2人きりで一つ屋根の下ってのも…


「蓮人くん…声に出てるよ」

「マジか………って、えーっ!!??」

「つか今日うちに泊まるのか?ってとこからね…答えはイェス。でもね、蓮人くん…」

「…なに?」

「私…蓮人くんにこれっぽっちも欲情してないから大丈夫」

「…………

ーーっそれ普通は男の台詞だ、こらぁっ!!」


やっぱり普通じゃなかった。
むしろ女であることを疑うべきかもしれない。


本当に…なんでこんな変なやつが家政婦としてうちに来たんだか……


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