白い気球の赤いベル
第一章「テレビに映る地方都市」
中学校、と呼ばれいる世間に私は失望した。


六月十五日。
一年一組から五組までの自分が割り当てられた組の教室までの道程は、随分と長くて暗くて重すぎて足が上がらない。背中にひっついたリュックの中の、新品同様で堅い教科書の山に加え、賑やかな四階まで続く続く罰ゲームのように長い階段。今週から開始した朝練で張り詰めた心が休まる時間も無く、まるでロボットの真似事みたいに私達は弱々しく毎日を進む。

「私の心は一体、何処へ行ってしまったのかな」
そんな見苦しい質問は、きっと誰にも届かないだろう。でも、これからも自分に言い聞かせれば大丈夫、大丈夫。

世間はそういう場所なんだよって。
< 1 / 12 >

この作品をシェア

pagetop