白い気球の赤いベル
フィギュアケース校舎に着くと、無意識に背筋がシャキッ、と伸びた。優しい音色がそれを支えた。そのことを久しぶりに私は音色で気付かされたようだ。

夏休み前までは、それが私の朝の習慣になっていたというのに。

きっと、これはフルートの音が高く澄んで聞こえてくるのだろう。

吹奏楽部に入っている私だけど、音色の正体に自信は無い。もしかしたら長く続いた仮病生活で、耳の感覚が鈍くなってしまったのかもしれない。

私は最近、吹奏楽部へ入部したことを大変後悔している。実はピアノも習ったことが無く、音譜すらまともに読めないのだ。

田舎に居た頃から運動系の部へ入ろう、と決めていた。

しかし人生は解らない。

こんな事があった。
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