恋迷路〜マイゴノコイゴコロ〜
「柚杞ちゃん…」
…優介先輩の顔が苦しげに歪んだのは一瞬で。
すぐに、いつもの微笑みに変わった。
「柚杞ちゃんは、優しいね。…寝不足なのも俺のせいなのに。」
「先輩っ…だから…、先輩のせいじゃありません…」
私がムキになって優介先輩に言い返すと、優介先輩はふっと笑い声を漏らした。
「そういうトコが、優しいんだってば。」
そう言うと、優介先輩は私の頭をくしゃっと撫でた。
優介先輩のあったかい手に、胸が騒つく。
どうしていいか、分からなくなるんだ…。
「…柚杞ちゃん、ホントに…、俺の昨日の言葉、気にしないで。柚杞ちゃんを苦しめたくない…。だから、気にしないで。」
それだけ言うと、優介先輩は戻るね、と言い残して中庭から去っていった。