恋迷路〜マイゴノコイゴコロ〜
次の瞬間、私は背中に鈍い痛みを感じるのと一緒に、手首にもギリッと痛みがはしった。
何が起こったのか分からなくて、私は痛みに耐えながら二、三度瞬きをした。
…私は、桜の木と智晴先輩の間にいた。背中に木の冷たい肌触りを感じる。
目の前には、今までで一番近い、智晴先輩の顔。
刹那、冷たい視線が絡み付く。
「ちはるせんぱい…」
どくんどくんと脈打つ私の心臓。
苦しい。
痛い。
「離してください…」
小さな声で、抵抗してみる。
だけど、智晴先輩はぴくりとも動かない。