恋迷路〜マイゴノコイゴコロ〜
「柚杞、最近昼休みドコに行ってるの?」
帰り道、理子ちゃんに聞かれて、私はギクッと固まった。
藤堂先輩とのことは、誰にも話していなかった。
なんだか…
話しにくかった。
どう説明していいのか分からないから。
「えと…まぁ、いろいろ…?」
苦笑いで答えると、理子ちゃんは一瞬だけ戸惑いの色を顔に浮かべてから、すぐに笑った。
「まぁ、無理に聞かない。でも、外は寒いからあったかい格好で行きなよ?」
「…ありがとう、理子ちゃん。」
私がそう言うと、理子ちゃんはにっこり笑ってうなずいた。
理子ちゃんは大人だ。
こういうところ、すごくいいなって思う。
落ち着いていて、常に冷静で。
私には、絶対にまだまだできない態度だ。
理子ちゃんはさらさらの黒い髪をなびかせて私の隣を歩く。
スタイル抜群で、優等生な理子ちゃんは男子からの人気がすごい。
だけど、彼氏はいないって言ってたっけ。
理子ちゃんにも、好きな人とかいるのかな…?