恋迷路〜マイゴノコイゴコロ〜
「先輩…あの…、」
先輩の腕の中にいることを自覚した次の瞬間から、私は不謹慎にもドキドキして仕方ない。
少しだけ先輩の腕の中でもがくと、先輩ははっとしたように慌てて腕を離した。
「ごめん、とっさだったから。」
少しどぎまぎしながら、先輩はそう言った。
「…ごめんなさい。私、先輩が怒ったんじゃないかって…。」
先輩を見ると、きょとんとしたあと、納得したように少し笑った。
「ごめんごめん。さすがにつれ回して悪かったなって思って、コレ、買ってた。」
そう言うと、先輩は缶ジュースを二本指に挟んで取り出した。
「戻ってきたら、どっかのドジなヤツが倒れそうになってたし?」
意地悪く笑う先輩。
…先輩、そんな表情見せないでください。
だって…
期待しちゃうから。
この恋が、もしかしたら叶うかもしれないって──…