姫と王子
 
 
「…んで、
思い出したのかよ」
 
「えっ!?…んー、
…微妙に?」
 
 
言われたような
気もするし、
そんなこと言った?
…とも思う。
 
あたしがまた
考えこんでいると
 
「・・・あっそ。」
 
 
また、"あっそ"!?
なんなのよーっ!!!!!
 
あたしが必死に
思い出そうとしてる
ってのに、その態度!
 
 
「・・・もういい。
用ないなら帰る」
 
いい加減、我慢の
限界ってもので。
 
あたしは東宮から
離れ、ドアがある方へ
向かった。
もちろん、帰る
つもりで。
 
 
「・・・待てよ。
用なら、ある」
 
東宮があたしを
じっと見て言った。
 
 
「な、なに…」
 
 
 
一次に出た東宮の
一言があたしの日常を
大きく変えることに
なるなんて・・・・・・
 
 
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