God of Death
 それなのに歩夢の親友ときたら、一目惚れした女の子に即告白して、しかも即交際を始めてしまった。同時に、思わず親友の彼女の判断力をも疑ってしまう。
 確かに親友の顔はいいが、喋ったことも無いのに、そんなに簡単にほいほいと付き合うなんて。運命でも感じたというのか、馬鹿馬鹿しい。


 ーー本当は、分かっている。ただ、羨ましいだけだって。

 親友の幸せ話を聞き流しながら、歩夢は拳を握りしめた。

 ーー分かってるから、だから、余計に苛立つ。なんで、俺はこんななんだ。

 遊んでばかり居たときは、この世が奇麗に見えてならなかった。男同士の馬鹿話。腹を抱えて大声で笑ってばかりいた。
 それが、嘘みたいだ。この世が、とても汚く見える。



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