最果てのエデン

噛み付きかけた先の言葉は、すっと眼を細めた男に呑まれたように奪われて消える。

でもと彼は誘うように言う。


「着いて来たいんだったら着いて来れば?」


男は言うだけ言って、あたしに背を向けて普通に歩き出した。
それを一瞬ぽけっと見送ってしまいそうになってからあたしは「ねぇ」と声を張り上げる。

このときの導かれるような感情をどう表したらいいのかなんともよく分からないのだけれど。
強いて言うとしたら、なぜか。

ひどく懐かしいような気がしたんだ、その人に対してずっと。


こんな一度見たら忘れられないような人、知り合いな訳ないと思いながら。



「ねぇ、あんたの名前は?」

あたしの問いに男はゆっくり振り向いて唇を吊り上げた。

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