最果てのエデン
当たり前のようにイチくんのマンションに帰って、促されるままにリビングのソファに座った。
日付はもう午前4時を指し示していた。
「――はい、飲むだろ?」
そう言ってイチくんが差し出してくれたのは、ちゃんと茶葉で入れてくれた紅茶で、オレンジの優しい香りがした。
御礼を言って受け取ったそれを口に含むと懐かしい味がしたような気がして、あたしはイチくんを見上げる。
イチくんは変わらない穏やかな表情で懐かしいだろと笑った。
「―――昔、イチくんの家もこの紅茶だった?」
「母さん、紅茶は好きだったみたいだから。お前が万葉と遊んでるときもジュースじゃなくて紅茶持っててたよな」
「―――そうだったねぇ」