小さな瞳
紙を開けると…12という数字が書いてあった。
12って事だ…。

そそくさに不安そうな顔で楓が私の元へ来た。
「ゆっ、結梨っ‼なっ、何番?‼」
「えー…と、12番だよ。」
「ぇ。まじ。」楓の表情が変わった。
「ぇ、何?‼はなれちゃった?」
「う、うん…私6番…」

「えええええええええええ‼
本当?‼すごいはなれてるじゃーん…」
「っそ、そうだね…まじ最悪」
「大丈夫だよ‼いつも喋ってるし遊んでるし…ね‼」
「そうだよね。あはは‼気になるのは~?」
「んー?何何?」
「もしかしてあんた何も気にしてないの?‼」
「ぃ?」楓の言ってる意味が良く分からない…。
「ぃ?って何よ。ぃ?って…あははは~っ」
「ぇ、何何、全然分かんないんだけど。」
「んもお~っ。分かってないな~。男子は誰か気になるでしょ~?」
「っそ、そうかな…」先輩以外に恋した事のない私はこのクラスで好きな人が全くいないのだ…。
「ぁ、そっか…ごめん。」楓は分かっているし、先輩の事まだ思ってるって思ったんだろう。
「え、全然いいよ‼気にしてないし。それより早く戻らないと先生怒られちゃうよ‼」
「そうだっ‼やばいっ。」

楓が席に戻ると、先生が、
「はぁ~い、じゃあ黒板に数字書いてあるから自分の数字の場所に移動してねー」
もう、本当1年生なみだよ…。

「んとー…どこだろ12番…」
黒板を見る。
「えっ、一番後ろじゃん‼っま、いいんだけど。」
そう思いながらも後ろの席へ行った。

特には気にしてないけど男子が来るのを待つ。
ざわざわしているから誰がこっちに向かっているとかも分からない。
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