Love Water―大人の味―
「あ、雨衣、今日の合コンは忘れてないでしょうね!」
思いついたように言う梨華は、若干キレかけている。
「当日に参加しないはなしだからね!
そもそも今日の合コンは雨衣のために……」
「あー、分かってるって」
顔を近づける彼女に、空返事を返す。
どうしてみんな、こう顔を近づけたがるのだろう。
「駅前の居酒屋『紅葉』に7時集合、でしょ」
「なに、分かってるじゃない」
ぱっと離れた梨華は、あたしの答に満足したのか、再びパソコンに向き合った。
………忘れるわけないじゃない。
合コンも悩み事のひとつなんだから。
再度こぼれそうになるため息をこらえて、代わりにうなだれる。
……部長には今日のこと『お食事会』ってことにしてあるし。
悩みの種は尽きそうにない。