苦い舌と甘い指先
「ま、取り合えず中入ろうよ!日も落ちて来たし」
言いながら夏輝が大きな門を開けた。
後に続いて、ミツ、あたし、肥後の順に 石畳を飛びながら進む。
丁度みっつ目の石畳に飛び移った時だ。
「あのね」
夏輝が玄関の少し手前で、柔らかそうなスカートを翻しながら振り返り
「うちの両親、変な事言うかもしんないけど 気にしないでね。特にジュノちゃんには…」
苦笑いを浮かべながらちょっと怖くなるような事を言ってくる。
変な事って何だよ…。若干怖ぇ。
ちょっとビクったけど
「お、おぉ…」
なんてマヌケな声で返すと、夏輝は『じゃー入るね』っつって、何事も無かったかのように扉を開けた。
瞬間だ。
「いらっしゃぁ~~~いっ!!!!」
お前は
何 処 の お と ぎ の 国 出 身 者 で す か
って感じのドレスを着たおばさまが出て来て(因みに盛り盛り縦ロール)
「貴女がジュノちゃんッ!?あらあらまァまァ…
ナッティ(つっこまなかったが多分夏輝の事)と仲良くしてやってくださいねっ?」
とか、目ぇキラキラさせながらあたしの両手を握りしめて来た。