苦い舌と甘い指先
何処からそんな自信が湧きでてくるのか。
呆れる程に、こいつは只のクズだった。
「……変態でナルシストとはな。世も末だ」
冷めた目で見てやったのだが、それでも肥後は嬉しそうににこにこ笑ってる。
「えー?でも、そうじゃない?
ほら、彼はどちらかというとカッコいい系でしょ。
俺の方が線も細くて中性的だし、美人ってのはあながち間違ってない分析なんじゃないかな」
「しらね」
「…もっと俺に興味持とうよ、ジュノちゃん」
そう言った肥後は、何を思ったか
突然あたしの手を取って その人差し指を噛んだ。
「ゲ…ッ!!汚ねぇ!!何やってんだよカスが!!」
「…マーキング?」
疑問形で終わらすな!!
薄い唇から覗く紅い舌。そこに埋められた、トレードマークとも言える銀色のピアスが、
何度も何度もあたしの指を往復してる。
コツ コツ と当たるその感触が嫌過ぎて。
「やめろ…っ」
手を引こうとするのだが、それは意外に力のある肥後が許さなかった。
「だーめ。噛んだ所、消毒してるんだから」
「な…っ」
何が消毒だ!!余計に汚くなってるだけだ!!