kiss me PRINCE!!
この頃のヒロの亜美信仰は、ものすごくひどくなってる。
口を開けば亜美ちゃん亜美ちゃんって。
あたしと二人きりなのに、どうして。
なんで亜美の話ばっかり。
そりゃあ、亜美が転校してきた当初からヒロは亜美に甘かった。
教室に足を踏み入れたその瞬間に、高嶺の花に認定された亜美。
この辺りにはいないような洗練された雰囲気をまとってた。
話し方も丁寧で、さらに頭もいいときた。
育ちの良さが前面から滲み出ているように見えた。
そんな亜美を遠巻きに見るしかなかった他の男子をよそに、こいつは押して押して押しまくった。
そしてついに“ヒロくん”とあだ名で呼ばせることに成功した。
クラスメイトでもあり同じ部活でもある須賀祐輝でさえ、名字にくん付けなのに。
ああ、なんだかあいつが哀れに思えてきた。
って、そうじゃなくて。