鏡越しの彼

流れるように紡がれる言葉。


「えー……。犯人なんですが、午後7時頃にビルの屋上から飛び降りている姿を多数の通行人に目撃されていまして、遺書が残されていました。内容は…


『星は朔斗さんを愛してる。
でも朔斗さんは気付いてくれなかった。
だから、耐えられなくて殺しちゃいました。
だから、星も死にます。
死後の世界で朔斗さんと一緒になるために。
婚約者の工藤っていう女には、可哀相だけど、星が先に朔斗さんと一緒になるから』


と、書いてありました。殺害した時間や場所なども詳しく書いた紙などが、部屋から見つかって、さらにストーカーをしていた証拠まで見付かっています」




はぁ?


あたしの頭の中で何かが切れた。


許せない。


ユルセナイ。


朔斗の全てを奪ったことが。





< 9 / 152 >

この作品をシェア

pagetop