ヌードなアタシ

『結婚ね…』


ケイちゃんはハンドルを握り
前方を見たまま…

少し間をおいて話し始めた。



『こまちがウチに来る前だから…
6年前ね。


わたし大ちゃんの子供流産したの。


付き合い初めて1年経ってて…
わたしは仕事で独立したばかりだったし
ハードな毎日だった。

妊娠したって事に
全く気がつかなかった…

毎日寝不足だったから
体が、だるかったり
熱っぽかったりなんて
いつもの事だったし…。

お腹が痛くても
鎮痛剤なんか飲んでやり過ごしてた。



子宮外妊娠だったの。

卵子って卵巣から卵管を通って
子宮に行くじゃない?

わたしの赤ちゃん
卵管で育ち始めちゃってて…

激痛で動けなくなって
救急車で運ばれた時には
ひどい出血だったらしいのね…

赤ちゃんは勿論…
子宮もひどく炎症起こしていて

体の外に出されてしまった。


わたしは、もう、二度と
子供を授かる事は出来ないの』




ケイちゃんは
他人事のように淡々と話した。


アタシは…
衝撃と混乱で
呆然とケイちゃんを見つめた。


< 124 / 346 >

この作品をシェア

pagetop