ヌードなアタシ

『…ショックよね?』


ケイちゃんはチラッとアタシを見た。



『………。』
言葉が出ない…

アタシはケイちゃんを
ただ見つめている。

涙があふれて頬を伝う。




ケイちゃんは表情を変えず
ハンドルを握って運転したまま
穏やかに話しだす。


『わたしも、ショックだったわ…
大ちゃんとは結婚も考えていたし。

赤ちゃん…産みたかった。

赤ちゃんが苦しいって言ってるのに
気付いてあげれなかった…

ほんと…母親失格よ。


大ちゃんにも申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
彼の子供を産んであげれなかったの。

これからも…

彼、子供大好きでしょ。


だから…

結婚に踏み切れないの。
わたしと結婚しても
子供のいる家庭は築けないのよ』



『ケイちゃんのせいじゃない!』


アタシは声を振り絞って言う。


『子宮じゃない所で
大きくなっちゃったんだもん…
だれも、悪くない!』


ぼろぼろ泣きながら
激しく訴えるアタシに
ケイちゃんは優しく答えた。


『ありがとう、こまち…

でもね、
赤ちゃんからのサインはあったの。
間違いなく、あった。

わたしが答えてあげなかったの…』


車はマンションの駐車場に着いた。

アタシは涙をぬぐい
ケイちゃんと車を降りた。


ケイちゃんはアタシの頭を
ポンポンと優しく撫でた。




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