ヌードなアタシ

オーディション会場の控え室。

アタシを含めて8人のモデルが
パイプ椅子に座り
自分の名前を呼ばれるのを待っている。



『…あれ?長沢さん、
他の人達みんな
キレイにお化粧しています…』



スッピンはアタシだけ。

まわりが大人っぽく見えるのは
そのせいだけでも無いみたいで
年齢も20歳前後くらいかな。

きっとアタシが一番年下。



『いいのよ』


長沢さんは特に気にする様子も無く
CMするファンデーションの
コンセプトが書かれた書類に目を通す。


控え室のドアが開き
スタッフの男性が
大きな声で説明を始めた。


『これから面接に入りますが…
その前に、
メイクされてる方は落としてきて下さい。
面接は素顔で受けて頂きます。

10分後、順次名前を呼びます。
付添の方は、この場でお待ち下さい』



スタッフの人が出て行くと
控え室はざわめき出す…



『えーっ!せっかく時間かけて
化粧したのに…』

『どうしょう…クレンジングなんて
持って来ていない』



数人はバタバタとトイレに駆け込む。

残りの人達も、
その場で慌てて化粧を拭き取っている。


アタシは驚いて長沢さんを見た。



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