ヌードなアタシ

アタシは責めた。

だって、アタシが奈緒の立場だったら
瞬くんが元カノに必要以上に親しくしたり
優しくするのって、すごく嫌だもの。


あっちにも、こっちにも
好意的な素振りみせるのってズルい。


そうだ…以前、付き合いだして間もない時
瞬くんのクラスのグループに偶然会った。

あの時は、特に気にして無かったけど
女の子の様子がおかしかった。


今、思うと頷ける。

きっと、あの中の1人が
瞬くんを好きで…瞬くんも彼女に優しくて…

彼女は、瞬くんと
互いに好き同士だと思っていたのに
突然、アタシの存在を知って
戸惑ったんだと思う。


瞬くんは全く悪意が無い。
だから余計にタチが悪い。



『そうだね…
こまちちゃんの言う通りだ。

ちゃんと謝りたかったんだ。

全てオレの思い上がりからだ。
ひどい事をした、君にも奈緒にも…

自分で壊しておきながら
手放してはじめて気付いた。
自分の気持ち…はっきり分かったんだ。

オレが好きなのは君なんだって。

今になってだよ、ホント馬鹿だね。

奈緒も…たぶん分かってるよ。
昨日、彼女から別れると言ってきたんだ』


えっ…
奈緒が…?


『もう、つらい思いはさせないから…
絶対泣かせないから…
お願い、もう一度オレを信じて。
やり直したいんだ…』


瞬くんは、
切なげな瞳で真っ直ぐにアタシを見つめ
テーブルの上のアタシの手を
ギュッとにぎりしめた。



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