ヌードなアタシ
校門を出ると
深緑色のミニクーパーが
ウインカーをあげ停まっていた。


『おまたせ』


助手席のドアを開け
運転席を覗き込む。



『お疲れさん。
楽しい学園生活を過ごしてきたかい?』



にっこり微笑んだケイちゃんは
スッと冷静な仕事の顔になる。



『今回の仕事ね、
なんとしても頂きたいの。

そのためには
こまちにも協力を、お願いしたくって…

これからプレゼンよ。』



『…プレゼン?』



『そう。
企画案を説明して
ぜひ、私に仕事を任せて下さいって
クライアント…えっと、お客さんに
アプローチするの。

こまちは、ただ横に居てくれるだけでいわ。

その、ジーンズをはいて…』



車を発進させながら
左手親指で後部座席を指さす。

アタシは、
後ろに体をのりだし紙袋を手に取り
膝の上に置いて中身を見た。



『それよ。

こまちは、それをはいて…
私が撮るの。

…タンクトップを買うわ。
どこか…いいお店ないかしら…』


ケイちゃんは
少しピリピリしていたから…

アタシは黙って、窓の外を見ていた。


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