ヌードなアタシ

結局、ママとは分かり合えなかった。


なぜ、アタシを産もうと思ったのか
なぜ、アタシを見てくれないのか

アタシを愛していたのか
ママの口から聞くことが出来なかった。



ママが亡くなった日の夜、

遺影の写真を探すのに
押し入れの奥にしまってあった
写真の入った箱を取り出した。

その時、古いアルバムを見つけた。

アタシが見たことのない
ママの若い頃の写真。

その数枚に
同じ男の人が写っていた。

顔を上げてケイちゃんを見ると
黙って頷いて『そうよ…』とつぶやいた。


アタシの本当のパパ…なんだ。


背の高い精悍な顔つきの人…
ママの横で優しく笑っている。


ママが愛した人
ママを裏切った人
そして
ママが憎んだ人


この人のせいで
アタシはママから嫌われた。

この人は、ママの死も知らずに
アタシの苦悩も知らずに

家族と幸せに暮らしているんだ…

そう、考えていた時
大介さんがアタシの頭を
大きな手でクシャクシャッと撫でて

『居間で、なんか飲もうぜ』
と行って立ち上がった。


きっと、アタシ…すごい顔して
写真を睨んでたんだと思う。

無言で写真を戻して
大介さんと一緒にその場を離れた。



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