もしも彼女がアイドルオタクだったら。
綺麗なマンションの前でタクシーが止まる。
「ここが、あたしん家!」
指をさす彼女。いや、普通に分かるし・・・。
お金を払ってタクシーを降りると、マンションの中へ入る。
「0125、押してぇ」

言われた通りにボタンを押すと、入り口が開いた。
エレベーターの中に入ってボタンを押す。

「こっち、こっち~」
腕を引っ張られ、部屋の前に辿り着く。
「あんま綺麗とは言えないけどねっ」
鍵を開けてドアノブを回す。

すると、ドアに貼ってある人に目を向けた。

「これは・・・」
テレビなどでよく見かける、男性アイドルのポスターだ。
「それ、かっこいいでしょ♪ささ、入って~」
それは別に気にはならなかった。
それよりも気持ちの鼓動が大きすぎて。

しかし、部屋に入ると、衝撃の光景が待ち構えていた。

「なんじゃこれ・・・」
部屋一面にそのアイドルのポスターが隙間無しに貼られている。
うちわや、雑誌の表紙・・・。
「もー!そんな見ないでぇ」

そんな言葉、耳に入らないほどの衝撃で。
口を開けたまま、周りを見渡してもアイドルの笑顔がずらーっと並んでいた。

「これ・・・何?」
部屋に入ってすぐにある、一番大きなポスター。
「それぇ?しょうくんのポスター♪やっぱそれお気に入り?」
あたしもなんだ~!と言ってこちらへやってくる。


「ただいま♥しょうくん♥」

そのポスターに顔を寄せた彼女。


僕が惚れた相手。
(「今日も飲みすぎちゃったよ~」)

それは。
(「しょうくんが出てる番組観れなかったぁ・・・」)

根っからのアイドルオタクでした。
(「でも、録画してあるからいっか♪」)







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