パラワー『天才・原口龍太郎博士のエトセトラ』
「酷いなぁ。俺の血と汗と寝ヨダレの結晶が、ぶら下がり健康器と同じ扱いなんて」


肩を落とした純一郎に向かって流は続けた。


「僕達がアナザー・ワールドに踏み入れる時は、そのレーダーを持って行くべきだと思うんです」


「そうか。予め俺達を登録しておけば、その世界のもう1人が現れたのが解るもんな。偶然出会デクワしてビッグバン! なんてのを避けられる。さっすが流くん!」


落ち込んでいた純一郎はまた顔を輝かせた。しかし龍太郎は余りいい顔をしていない。


「フンッ、お前がお前と笑顔で握手さえしなけりゃいいんじゃないのか? あれ(レーダー)はかさ張るから、出来れば持ちたくないんだが……」

──────────────…‥・ ・

※ぶら下がり健康器

1978年、塩谷氏らに依って考案されたぶら下がり健康法を手軽に行える器具として「サンパワー」の名称で発売。最盛期には月販20万台にものぼった。大抵の家庭でその後物干し台と成り果てる


< 29 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop